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ポータブルなオルガンベンチ製作 

どこのメーカーでも折りたたみができる軽めのオルガンベンチを作っていないので製作しました。長い足鍵盤やフルサイズの足鍵盤を使うときには通常のベンチだとエクスプレッションペダルに足が届きにくい、もしくは届かなくなるので足鍵盤がベンチの下に入らないと使えないんです。そんなわけで、アメリカのオルガンプレーヤーの友人がキーボードスタンドの上にシートを作って装着するとオルガンベンチにできると教えてくれたので、ホームセンターに行って木材を選びカットしてもらい、鉋で面取りをして電動サンダーとヤスリで形と表面を整えてニス塗りしましたが、仕上げの塗装に失敗して全部塗装を剥がしてヤスリをかけ直して、また塗装をやり直したので時間がかかってしまいました。その後は止め金とネジでスタンドにシートを固定し完了しました。重さは9.5kgとメーカーが作っているものに比べても軽いオルガンベンチで、高さもほぼビンテージのベンチと同じです。そして実際のビンテージのハモンドオルガンにも使えます。強度も十分でポータブルなので大きめの足鍵盤を使う時に重宝しそうです。 これで折りたたみも簡単にできて運びやすく、全部一人で機材の搬入と搬出、セッテングできるので便利です。できればどこかのメーカーが作ってくれればいいのですが・・・。

ちょうど色もオルガンと足鍵盤と組み合わせが良い感じで、足鍵盤もビンテージのハモンドオルガンを弾いている感じで遜色ない感じです。問題はステージにある程度スペースがないとセッテングするのが大変なことでしょう。これから使っていきたいと思います。

 

 

Viscount Legendのアップデート 

今使っているViscount Legendのオルガンのアップデートをリリース前に最終審査してほしいとメーカーから依頼がありました。まだまだ改良できる箇所がありましたので、それから一週間以上メーカーとメール、ビデオメッセージ、電話とたくさんのやり取りをして一段落つくまで良い感じに仕上がったので本日アップデートがリリースされました。自宅のB3やその他サンプル音源でとってある他のB3やA100などの音源とこの最新のアップデートを比較して仕上げていったので、ほとんど普通の人が聞いても違う個体のビンテージというぐらいの音まで仕上がりました。こうやっていろいろとメーカーが頼ってきてくれて、それに協力できることは嬉しいです。そして何より良い音のオルガンでライブできるのはさらに嬉しいです。 

というわけで、今回のリリースと同時に私が製作したビデオを公開しました。最初は自宅のB3とLegendをレスリー122を通して比較、そのあとは両方からラインをとって比較しました。最初にブラインドテストを作りましたが、違いがわかりますか?ほとんどの人がおそらくわからない、もしくは両方ともビンテージだと感じるのではないでしょうか。しかもビンテージのハモンドオルガンは微妙に一台一台音が違うのです。今日のライブから本格的に使いたいと思います。

Viscount Soloのハードケース 

新しい一段鍵盤のオルガンであるViscount Soloのカスタムハードケースを有本ケースさんに依頼するために自宅に伺いました。以前も二段鍵盤、一段鍵盤、足鍵盤のハードケースを作ってもらいました。バルカナイズドファイバーと言う素材(いわゆるドラマーがスタンドなどを入れるよく見るケース)なので、軽くて頑丈なので飛行機で運ぶ時に重宝します。 

実は日本でこのケースを作れるのは有本さんともう一社しかなく、海外も作っている会社はほとんどないのです。なので知られてはいませんが日本の職人技術でもあります。 

オルガンは現地調達するのが難しく、海外の場合は送るのが大変でコストもかかります。ということでスタンド、ベンチ、アンプは現地調達して、オルガン本体と小物機材は持っていく場合がほとんどです。それでも重量制限の23kg、三辺の合計203cmを超えないようにするのも大変です。超えても超過料金払えば済むのですが結構高いです。 

12月にドイツのベルリンで二本ほど演奏するので以前のように二弾鍵盤を持って行くことを考えているのですが、かなり大変なので今後アメリカやヨーロッパ以外、アジアの国でも演奏する際(これは今後の目標の一つ)にも気軽に持っていける新しい一段鍵盤のケースを作っておけば良いかなと思いました。二弾鍵盤に比べると奏法などで妥協することがありますが、普通に演奏はできます。 

カスタムハードケースをお探し場合は有本ケースさんおすすめです。 

yupon-japan.com/index.html

PS. そして完成してドイツに持っていきました。

 

Viscount KeyB Legend Soloの動画 

メーカーに頼まれていませんが、お世話になっているので新製品Viscount Legend Soloのちょっとしたビデオを作りました。しかも深夜2時すぎの静けさの中で行いました。海外のオルガン関係のフォーラムで多くの人の要望があったので思い立ってすぐ行動しました。一発撮りのちょっとした編集でセッティング含め30分ほどだったので、少々アングル的にはうまく全体が撮れませんでしたが、まあ参考のためには良いという事にしましょう。ちなみにレスリーシュミレーターは外部のMini Vent for Organでハーフムーンスイッチが使えるように改造したものを使い、Midi Solutionでサイスティンペダルを使い、足鍵盤の一つの音を鳴らせるようにMidiの信号に変換しています。これで足鍵盤のタッピングが使えるようになります。音がかなり良い感じだと思います。

Viscount KeyB Legend Soloが届く 

今回は一段鍵盤のKeyB Legend SoloがViscount社から届きました。二段鍵盤がセッティングできないスペースがあまりない場所で演奏することがあるので活躍してくれそうです。音はLegendのオルガンと同じで操作性も一段鍵盤ですが容易です。9.5kgとかなり軽量なので運びやすいです。

 

 

Leslie 2101mk2改造とその他機材 

レスリースピーカーの回転するホーンは現行もの(ハモンドスズキが生産している)とビンテージものは違うのです。ベルトを付けて回る部分の大きさは同じ、ねじで取り付ける位置も同じなのです。オイルを注す穴の場所も同じです。しかし、ホーンの付け根の太さと穴の大きさが違うのです。これによって若干音が変わります。ビンテージのは音を通過する穴が大きいので少しミッドレンジに厚み(といっても800Hz以上ですが)があります。ほんの微妙な違いですが・・・。 

ということで、現行のレスリー2101mk2にビンテージのホーンを取り付けました。ビンテージのホーンはもう生産されていないのでかなり貴重なんです。これによって少し音が良い意味で変わりました。根元にはコットンのフィルターを付けて本来のビンテージレスリーの出荷時のようにしました。真空管もいろいろと試し、マイクロフォニックではない状態の良いビンテージの真空管を選び、抵抗を調節し完了しました。 

残念なことにこのホーンドライバーはメーカーがビンテージのJensen V21に周波数特性が近いと言っておりますが、高音の2khzあたりからそれより上が鋭い耳につくような音であり、どうしようもありません。それだけビンテージのホーンドライバーが良いという事なのですが、このことで悩んでいて試行錯誤していた訳ですが、ノルウェーのハモンドオルガン・レスリーの修理技師の友人がホーンドライバーのケースの45度になっている部分に8mmぐらいの穴を2つか3つ開けてフェルトで蓋をする(これは埃やごみが入らないようにするため)と高音が滑らかになるという事を教えてくれました。本来は振動板にもあまりよくないのですが、この鋭い違和感がある音をなくすために改造してみました。するとかなり高音が滑らかになり鋭い音が弱まり、よりビンテージの音に近くなりました。ここまでの改造をする人はそうそういるとは思いませんが、より良い音になったのには満足です。

あと最近ではデジタルオルガンではどうしても再現できないビンテージハモンドオルガンのプリアンプAO-28の微量の歪み・暖かい音を再現するためにアメリカのオルガンプレーヤーの間で話題になっているエフェクター Tall & Fat を使い始めました。調節は自宅のB3と音量を合わせてから微妙に歪み具合をヘッドフォンで聞きながら近づけていくという感じで調節しました。ほんの微妙な差ですが、真空管やこのMOSFETの回路を通すことにより、奇数次高調波歪みを打ち消し偶数次高調波歪みを強調するように働くので豊かな音に感じられます。これによってライブで使う機材がより良い音でビンテージに近くなったのではと思います。おそらく多くの人がこの機材とビンテージを聞き分けられないでしょう。ビンテージも個体差があるので、状態が良くなければ今のライブの機材の方がおそらく良いかなと思います。

 

 

 

ハモンドSK2をビンテージのB3の音に近くする 

少し時間があったので、ライブに使っているハモンドスズキのオルガンであるSK2をメンテナンスした58年製のビンテージハモンドB3にどれだけ似たサウンドになるか試行錯誤してみました。多くのユーザーがいじらない・手をつけないものであるカスタムトーンホイールというSK1/2の設定(どうやって調節したらよいかわからないと思う人が多く、かなり複雑でマニアックです。)があり、一つ一つハモンドオルガンのサウンドになるものを調節してみました。両方の音量を同じにして、B3の一つ一つの音をデシベルメーターで測り、それにマッチするようにSK2を調節していくという作業で、多くの時間がかかりました。また念のために2度ほど計測し直しました。(さらに時間を割くことになりました。)2度目はより正確になるように条件をさらに細かくしました。


これがその結果です。 58 Hammond B3 vs Hammond Suzuki SK2
少しの差はあり、やはりビンテージはいろいろな要素が複雑に成り立っているので、限界はあります。同じにはなりません。しかし、素の音はかなり近くなったでしょうか。早速今日のライブで使ってみましたが、かなり良い感じで満足な音でした。おそらくビンテージのレスリーに通したらほとんどの人がわからないでしょう。それを現行の小型レスリー2101mk2を使い、もうちょっとビンテージに近いサウンドにしたいと思います。 

とりあえずどちらがB3で、どちらかSK2だかわかりますか?わかったらかなりのハモンドオルガンマニアだと思います。